地球は酔っぱらい?

うるう秒を2006年1月1日午前8時59分59秒の1秒後に「午前8時59分60秒」として入れるというお達しが総務省から発せられました。

なぜうるう秒を入れるかご存じでしょうか?
「そりゃうるう年を入れるのと同じでしょ。地球の自転と公転の比がピッタリ整数でなく365.24なにがしだからときどきうるう年にして、それでも補正しきれない分をうるう秒突っ込んで調整するんでしょ」

と思った人は違います。
実は高精度の計測技術(ブログ参照)をもってすると、地球は規則正しく自転していなくて、速くなったり遅くなったりしているのです。 つまり現代最先端のテクノロジーから見れば、地球は酔っぱらいのように回っているのです、
「そんなバカな! それは角運動量保存の法則に反する!」

いえいえ、地球は中は熱々の流動体で、海や空気も流動体。地表だけが固体なので、構造は鶏の卵(ただしまん丸にして)にそっくりです。だから全体は角運動量一定でも、中で対流などしていたら、我々が住んでいる表面だけ見ればフラフラ自転していてもおかしくありません。 酔っぱらい自転が現に起きているのはそんなようなからくりと考えられていますが、とにかくうるう秒を入れる必要があるのです。 ただしそのフラフラは予測がつかなく、いつうるう秒を入れるかはそのときどきで世界の時間標準委員会みたいな所で取り決めています。

公転の方はより規則的なはずですね。太陽と地球の間を埋める流動体はないので。 公転といえば、実は太陽すら、太陽系の重心の回りを公転しているはずです。

その太陽系の重心はどこにあるか知ってますか?
「そりゃほとんど太陽のど真ん中でしょ。惑星の質量全部足しても太陽に比べればゴミみたいなもんだから」

と思った人は違います。
質量はたしかにゴミみたいなもんですが、遠くにある物体はその遠さに比例して重心の位置に影響を与えます。どこで聞いたか忘れましたが、太陽の表面近くまでずれ得ると聞いたことがあります。本当かどうか、さっそく太陽と木星だけが存在するとしてラフな数値で試算してみました。それによると、太陽の表面をわずかに飛び出す位置になりました。恐るべしジュピター。と言っても、単に木星がすごく遠くにあるというだけのことですが。いずれにせよ木星と土星が同じ方向に配置するような時期は、太陽はその表面あたりの一点の回りに公転していることになります。

「そんな太陽一個分行ったり来たりしているようには見えないよ」
そりゃそうです。木星の公転周期は12年。気がつきませんよね。でも日の出日の入りの時刻には±4分ほど影響しそうです。10年分くらいの理科年表のデータを丹念に見ると、そういうのが見えるかどうか。もっと誤差を与える何か他の要因の方が大きいかもしれませんが。

[最終稿:2005年10月28日]


前ページ(サイエンス・エッセイ)に戻る
ホームに戻る