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2022年度
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—第6回固体物理セミナー—
主催:基礎工学研究科物質創成専攻物性物理工学領域/未来物質領域
共催:量子情報・量子生命研究センター
●日時:10月26日(水)15:10〜
●場所:基礎工学研究科G棟5階516講義室
●講師:東 浩司 氏 (NTT物性科学基礎研究所)
●題目:量子インターネットに向けて
●要旨:
「量子インターネット」は、量子暗号プロトコルから量子コンピュータネットワークに至る、様々な量子情報処理を、地球規模で可能にする究極の通信ネットワークである。量子インターネット実現に必須の要素は量子中継である。本セミナーでは、量子インターネットに関する分野の現在の理解を提供するとともに、なぜ量子中継が必要なのかについて解説する。
●問合せ先:山本 俊(基礎工学研究科 教授)
—第4回固体物理セミナー—
主催:基礎工学研究科物質創成専攻物性物理工学領域/未来物質領域
●日時:6月13日(月)15:10〜
●場所:基礎工学研究科A棟4階403講義室
●講師:浅野元紀 氏 (NTT物性科学基礎研究所)
●題目:微小共振器によるハイブリッドオプトメカニクスに関する研究
●要旨:
古くは彗星の尾に見出された放射圧は、光を強く閉じ込めることが可能な微小共振器の登場によってエンジニアリング可能な領域へと昇華した。微小共振器によって光機械結合を精密に制御する「共振器オプトメカニクス」の分野は、振動の量子極限計測や非線形制御、フォトン-フォノン間の量子状態制御など幅広い可能性を示してきた[1]。近年、この光機械結合系にマグノンやエキシトン、超電導回路や流体など第三の物理系を組み込むことで更なる機能性を探求する「ハイブリッドオプトメカニクス」が注目を集めている[2]。しかしながら、このような三位一体の物理系を実現可能な素子材料・構造は限られており、共振器オプトメカニクスをより多様な物理系へ展開していくためには、新たなオプトメカニカルアーキテクチャの実現が求められる。 本発表では、我々が取り組んでいる汎用性の高いオプトメカニカルアーキテクチャを2つ紹介する。一つは、独立な光共振器と機械振動子とを光近接場によって間接的に結び付ける近接場オプトメカニクスによるアーキテクチャである。これにより微小共振器と同じチップ上に作製することが困難な半導体ヘテロ構造ナノワイヤへの適用に成功した[3]。もう一つは、複数のオプトメカニカル共振器を1次元的にアレイ化した連結ボトル共振器によるアプローチである。一部の共振器を空気中に保持したまま残りの共振器を液中に配置する独自のセットアップにより、光共振器が機能しないような高屈折率・高吸収率の溶液に対しても共振器オプトメカニクスを適用可能なアーキテクチャを実現した[4]。
[1] M. Aspelmeyer, T. J. Kippenberg, and F. Marquardt, Rev. Mod. Phys. 86, 1391 (2014).
[2] L. Midolo, A. Schliesser, A. Fiore, Nat. Nanotech. 13, 11 (2018).
[3] M. Asano, G. Zhang, T. Tawara, H. Yamaguchi, and H. Okamoto, Commun. Phys. 3, 230 (2020).
[4] M. Asano, H. Yamaguchi, and H. Okamoto, arXiv:2203.14496.
●問合せ先:山本 俊(基礎工学研究科 教授)
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2021年度
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主催: 電子情報通信学会 量子情報技術特別研究専門委員会 (委員長 小芦雅斗(東京大学))
共催: 応用物理学会 量子エレクトロニクス研究会
大阪大学 量子情報・量子生命研究センター(QIQB)
■日時■
2021年11月30日(火)~2021年12月1日(水)
■会場■
オンライン(Zoomを予定)
■招待講演■
佐々木 寿彦 (東大) 「量子鍵配送の有限長安全性証明手法の現状について」
山本 剛 (NEC) 「超伝導量子コンピュータの進展」
■チュートリアル講演■
根来 誠 (阪大) 「量子センシング入門」
■QIT45実行委員会■
■委員長: 山本 俊 (大阪大学)
■副委員長: 生田 力三 (大阪大学)
■副委員長: 小林 俊輝 (大阪大学)
■副委員長: 山下 眞 (大阪大学)
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量子力学×文学 コラボカフェ「デンマークの絵本から見る、量子力学の世界」
■ 日時:2021年6月20日(日)15:00〜16:30
■ ゲスト:
田辺欧(大阪大学言語文化研究科教授)
藤井啓祐(大阪大学QIQB/基礎工学研究科教授)
山本俊(大阪大学QIQB/基礎工学研究科教授)
勝矢博子(絵本翻訳者)
*QIQB:大阪大学世界最先端研究機構 量子情報・量子生命研究センター
■カフェマスター:
當野能之(大阪大学言語文化研究科准教授)
■主催:大阪大学外国語学部・大学院言語文化研究科、アートエリアB1【大阪大学+NPO法人ダンスボックス+京阪ホールディングス㈱】
■共催:大阪大学世界最先端研究機構 量子情報・量子生命研究センター、大阪大学 社会技術共創研究センター(ELSIセンター)
■後援:デンマーク大使館
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2020年度
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QIQB✕QCNQCシンポジウム「光子検出技術」
大阪大学先導的学際研究機構QIQBセンターと内閣府・JSTムーンショット研究開発事業目標6「2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現」におけるQCNQCプロジェクト(ネットワーク型量子コンピュータによる量子サイバースペース)の合同シンポジウム「光子検出技術」を開催いたします。人類の視覚を超えて「見る」テクノロジーは、基礎研究から実用にいたるまであらゆる領域で活躍しています。その究極の形である光子検出技術は量子コンピュータや量子インターネットなどの量子情報技術のみならず、様々な応用分野に拡がりを見せています。本シンポジウムではこの光子検出技術の最新の状況を様々な視点から俯瞰し、さらなる発展を議論する会としたいと思います。
オンライン開催
開催日時:2021年3月26日(木)13:00~18:30
参加申込: 参加費無料、要事前申込(定員100名、3月21日(日)締切)
*申込はこちら→ 申込フォーム
プログラム
13:00 – 13:05 開会の挨拶:北川勝浩(大阪大学)
13:05 – 13:10 はじめに: 山本俊(大阪大学)
セッション1 座長:大岩顕(大阪大学)
13:10 – 13:40 大野雅史 (東京大学)
「超伝導転移端センサが切り拓く原子力基盤計測技術」
13:40 – 14:10 小田川明弘 (Panasonic株式会社)
「百万画素APDセンサを用いたTOFセンシング技術」
14:10 – 14:30 休憩
セッション2 座長:青木隆朗(早稲田大学)
14:30 – 15:00 小玉剛史 (浜松ホトニクス株式会社)
「光電子増倍管(PMT)の量子技術への展開」
15:00 – 15:30 三木茂人(情報通信研究機構)
「超伝導ナノストリップ(ナノワイヤ)を用いた単一光子検出技術の開発」
15:30 – 16:00 寺井弘高( 情報通信研究機構)
「超伝導ナノワイヤ単一光子検出器の高度化を目指した極低温信号処理技術の開発」
16:00 – 16:20 休憩
セッション3 座長:久保結丸(沖縄科学技術大学院大学)
16:20 – 16:50 福田大治 (産業技術総合研究所)
「超伝導転移端センサによる量子光計測技術への応用と物理標準」
16:50 – 17:20 河野信吾(理化学研究所)
「超伝導量子回路を用いた伝搬マイクロ波光子の量子測定」
17:20 – 17:25 おわりに
17:30 – 18:30 意見交換会(オンライン)
共同主催:
大阪大学先導的学際研究機構QIQBセンター
内閣府・JSTムーンショット研究開発事業目標6 QCNQCプロジェクト(ネットワーク型量子コンピュータによる量子サイバースペース)
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2019年度
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QIQB Seminar (Dec 10, 2019)
Lecturer: Prof. Chao-Yang Lu (University of Science and Technology of China, Hefei, P.R. China)
Venue: Sigma Hall (Graduate school of Engineering Science, Osaka Univ)
Time: 16:00-17:00
Title: Scalable photonic quantum technologies
Abstract: The main challenge for large-scale photonic quantum technology lies in the lack of a perfect single-photon sources. In this talk, I will report recent progress towards developing high-performance quantum light sources. Using parametric down-conversion, we produce two-photon source with simultaneously a collection efficiency of 97% and an indistinguishability of 96% between independent photons. Using a quantum dot-micropillar, we produced single photons with high purity (>99%), near-unity indistinguishability for >1000 photons, and high extraction efficiency—all combined in a single device compatibly and simultaneously. We developed bichromatic laser excitation [Nature Physics, 2019] and elliptical microcavites [Nature Photonics, 2019] to overcome the polarization filtering to create truly optimal single photon sources. The highest-quality single photons allowed us to perform quantum interference with sunlight with 80% raw visibility [PRL 2019]. We report boson sampling with 20 single photons injecting into 60-mode interferometer at a state space of 10^14 [arXiv.1910.09930].
Prof. Chao-Yang Lu is the recipient of the 2019 (the seventh) Nishina Asia Award.
主催:大阪大学大学院基礎工学研究科、先導的学際研究機構量子情報・量子生命研究部門(QIQB) 共催:仁科記念財団、新学術領域研究「Topological Materials Science」
問合先:山本 俊(基礎工D棟407号室)
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固体物理セミナー(令和元年度 第2回)(インタラクティブ物質科学・カデットプログラム講演会)
日時:6月6日(木)14:40-16:10
場所:基礎工学研究科 G棟215-221セミナー室
講師:東 浩司 特別研究員
(NTT 物性科学基礎研究所)
題目:「ブラックホールの面積と負の情報」
要旨:
約半世紀前、Bekensteinは、ブラックホール物理が熱力学第2法則に反さないためには、ブラックホールが、その面積に比例したエントロピーを持つべきであると主張した[1]。Hawkingは、後に「ブラックホールは完全にはブラックでない」と表現することになる、ブラックホールの熱輻射を発見し、Bekensteinの主張を補強した[2-4]。しかしながら、このホーキング放射の微視的描像は、正と負のエネルギーを持つ粒子の対生成に基づき、ブラックホールの第一法則、Bekensteinの主張、量子力学のユニタリティの間で矛盾を引き起こす。ParikhとWilczekは、ホーキング放射を動的幾何におけるトンネル効果として扱うことで、この矛盾を解決するが、ホーキング放射が熱輻射であることを犠牲にしている[5]。
本発表では[6]、熱力学ではなく量子情報理論の観点から、Bekenstein方程式の代わりとなる方程式を提案する。私たちが提案する方程式は、ブラックホールの面積が、単純なエントロピーではなく、ブラックホールの外側から、ブラックホールが持つ正のエネルギー粒子へのコヒーレント情報[7,8](負の条件付エントロピー)に比例することを主張する。私たちの方程式は、ブラックホールが持つ負のエネルギー粒子が、まるで負のエントロピーを持つかのように振舞うことを示す。これらのアイデアは、ブラックホールが古典情報ではなく、純粋な量子情報を蓄えていることを示している。
[1] J. D. Bekenstein, Phys. Rev. D 7, 2333-2346 (1973).
[2] S. W. Hawking, Nature 238, 30-31 (1974).
[3] S. W. Hawking, Commun. Math. Phys. 43, 199-220 (1975).
[4] S. W. Hawking, Phys. Rev. D 13, 191-197 (1976).
[5] M. K. Parikh and F. Wilczek, Phys. Rev. Lett. 85, 5042-5045 (2000).
[6] K. Azuma and S. Subramanian, Preprint at http://arxiv.org/abs/1807.06753 (2018).
[7] B. Schumacher and M. A. Nielsen, Phys. Rev. A 54, 2629-2635 (1996).
[8] M. Horodecki, J. Oppenheim and A. Winter, Nature 436, 673-676 (2005).
問合先:山本 俊(基礎工D棟407号室)
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固体物理セミナー(令和元年度 第1回)(インタラクティブ物質科学・カデットプログラム講演会)
日時:5月23日(木)14:40-16:10
場所:基礎工学研究科 G棟215-221セミナー室
講師:井戸哲也 室長(情報通信研究機構 時空標準研究室)
題目:「光格子時計によるハイブリッド時系実信号の生成と国際原子時校正」
要旨:
性能面においてセシウム周波数標準をはるかに超える光時計が出現した今、国際単位系の秒の定義を変更することが議論されている。秒の再定義のためには精度向上と共に、現代社会のベースクロックとなっている協定世界時(UTC)の刻む一秒の長さ(歩度)を新しい定義に基づいて定常的に校正出来る必要がある。
そこで、今回我々はパリ天文台と独立かつ同時に初めて直近の協定世界時の歩度を校正し、そのデータを国際度量衡局に送付し、結果光時計のデータが初めてUTCの歩度調整に参照されたのでその報告をする[1]。
また、NICTが発生・維持・供給している日本標準時(JST)はマイクロ波原子時計を組み合わせてUTCに対して20ns以内の同期を維持している。我々はさらなる時刻精度の向上を目指して光格子時計を時刻信号に利用する光・マイクロ波ハイブリッド時系実信号の生成に成功し、半年間で数nsしかずれない極めて正確な時刻を生成することが出来た[2]。
[1] BIPM time department, Circular T 372
[2] H. Hachisu, F. Nakagawa, Y. Hanado and T. Ido, Sci. Rep. 8, 4243(2018).
問合先:山本 俊(基礎工D棟407号室)
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2018年度
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QIQBセミナー: 量子プラズモニクス
Date: (THU) 7th February 2019
Time: 14:40-15:40 (Seminar)
Venue: D404 Seminar Room, Graduate School of Engr. Sci., Toyonaka Campus, Osaka University
Speaker: Prof. Mark Tame (SARChI Professor at Stellenbosch University)
Topics: Quantum information, Plasmonics, Quantum sensing
Title: Quantum plasmonics
Abstract:
Integrated photonics is an attractive platform for quantum
state engineering. Here, dielectric materials are often used to
construct complex optical circuitry. Plasmonic materials can provide a
way to confine light to much smaller scales, which enables the
enhancement of light-matter coupling. This can be used to build
single-photon sources and switches, both of which are important for
quantum technologies. Unfortunately, the confinement of light with
plasmonics comes at the expense of significant loss. However, recent
studies have shown that with careful engineering one can overcome loss
and even exploit it for realising quantum applications at the
nanoscale. I will talk about some of these applications, many of which
have been experimentally demonstrated, including quantum sensing and
quantum random number generation.
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未来研究推進センターセミナー
日時:2018年7月30日(月) 15:00~16:00
場所:基礎工G棟セミナー室 G215-221
講演者:Prof. Şahin Kaya Özdemir (The Pennsylvania State University, 基礎工学研究科 特任教授)
演題:Metrology with optical resonators at exceptional points
概要:
Whispering-gallery-mode (WGM) optical microresonators have emerged as excellent platforms for exploring basic science and for fabricating functional devices. They have been used for sensing, cavity-QED, optomechanics, low threshold lasing, and most recently for the realization of parity-time (PT) symmetry and exceptional points in optics. In this talk, after briefly reviewing the physics and the applications of WGM microresonators, I will discuss how light-matter interactions can be enhanced when these resonators are operated at exceptional points, which are non-Hermitian degeneracies at which two or more of the complex eigenvalues and the corresponding eigenstates of a physical system coalesce. As examples, I will show how the performance of optical sensors (e.g., particle detection, refractive index sensing, and displacement and force detection) can be improved close to an exceptional point, and how the exceptional points affect the optomechanical interactions and phonon laser performance. I will end the talk giving a brief summary of other interesting phenomena we study with WGM resonators and discussing some of the opportunities and challenges in the WGM research.
References:
1. Exceptional points enhance sensing in an optical microcavity. W. Chen, Şahin Kaya Özdemir , G. Zhao, J. Wiersig, and L. Yang, Nature 548, 192 (2017).
2. Enhanced sensitivity at higher-order exceptional points. H. Hodaei, A. U. Hassan, S. Wittek, H. Garcia-Gracia, R. El-Ganainy, D. N. Christodoulides, and M. Khajavikhan, Nature 548, 187 (2017).
3. A phonon laser operating at an exceptional point. J. Zhang, B. Peng, Şahin Kaya Özdemir , K. Pichler, D. O. Krimer, G. Zhao, F. Nori, Y. -X Liu, S. Rotter, and L. Yang, Nature Photonics 12, 479 (2018).
4. High-order exceptional points in optomechanics. H. Jing, Şahin Kaya Özdemir , H. Lu, and F. Nori, Scientific Reports 7, 3386 (2017).
5. Metrology with PT-symmetric cavities: Enhanced sensitivity near the PT-phase transition. Z. P. Liu, J. Zhang, Şahin Kaya Özdemir , B. Peng, H. Jing, X. Y. Lü, C. W. Li, L. Yang, F. Nori, and Y.-X. Liu, Physical Review Letters 117 (11), 110802 (2016).
共催:先導的学際研究機構量子情報・量子生命研究部門
基礎工学研究科未来研究推進センター
問合せ先:阪大基礎工 山本俊